2024.10.26

のし紙の書き方から水引の疑問まで
知って役立つ
お歳暮の基本マナー

今年も残すところ、あと2ヶ月となりました。日頃お世話になっている人にお歳暮を贈ろうと考えている方は、早めの準備をおすすめします。直前に慌ててギフトを選ぶと、贈りたいタイミングに品物を配送できなかったり、のし紙の種類や表書きをうっかり間違えてしまうおそれがあるのでご注意を。せっかく感謝の気持ちを込めて贈るのですから、相手に失礼のないよう、マナーには気をつけたいものです。
そこで今回は、覚えておくと便利なお歳暮のマナーをご紹介。意外と知らないお中元との違い、のし紙と水引の選び方などもお教えします。

知っておきたいお歳暮のマナー

1.お歳暮とお中元の違い

お世話になった方に贈り物をする習慣として広く知られている「お歳暮」と「お中元」。感謝の気持ちを伝える点は同じですが、贈る時期などに多少の違いがあります。まずはその違いについて見ていきましょう。

お歳暮の違いについて

【贈る時期の違い】

お中元は7月初め〜8月中旬に贈るのが一般的ですが、地域によって時期に微妙な違いがあります。これは1873年(明治6年)、日本に新暦(グレゴレオ暦)が採用されたことに関係しているのだとか。新暦の採用によって、首都圏ではお盆が 7月15日になりましたが、地方ではこの時期がちょうど農作物の収穫と重なるため、1ヶ月遅れの8月15日がお盆となったそうです。このため、お盆に合わせて贈るお中元も、首都圏を中心とする関東地方では7月1日~15日に、関西地方では7月中旬〜8月15日に贈るようになったと言われています。しかし、近年では地域差がなくなってきており、関西のお中元の時期も早まりつつあるようです。
いっぽう、お歳暮は12月初め〜年末までに贈るのが主流ですが、こちらも地域によって若干の違いがあります。最近は年末の帰省などで家を留守にする人も多いため、関東では贈る時期が年々早まってきているようです。遅くとも12月20日頃には相手のもとに届くよう、品物を手配しておきましょう。

関東関西
お中元7月1日~7月15日7月下旬~8月15日
お歳暮12月初旬~12月31日12月13日~12月31日

【贈る意味合いの違い】

お中元は「夏までの半年間、お世話になったことへの感謝」と、夏の厳しい暑さに対する「暑中見舞い」の気持ちを込めて贈ります。
かたやお歳暮は「1年間、お世話になったことへの感謝」と、「来年もよろしくお願いします」という思いを込めて贈るため、お中元に比べて若干高価なものが選ばれる傾向にあるようです。

【贈る品物の違い】

夏真っ盛りの時期に贈るお中元は、暑さを和らげてくれる涼しげなもの、日持ちの良いものが売れ筋です。
これに対し、年末に贈るお歳暮は、鍋に使える肉や魚介類など、正月に家族みんなで食べられるものが人気。季節感をふまえたギフト選びは、相手に喜んでもらう上で大事なポイントのひとつです。

お中元アイス、ゼリー、そうめんなど
お歳暮海産物、肉類、ハムやソーセージなど

2.お歳暮を贈るときのマナー

お歳暮はお中元と同じく、手渡しで届けるのがマナーとされています。しかし近年は、贈る側も受け取る側も多忙な上、遠方に発送する場合も多いため、デパートやインターネットで購入した品物を郵送することが多くなりました。ここでは、お歳暮を配送する時に押さえておきたいマナーを解説します。

【お歳暮を贈るタイミング】

お歳暮を贈る時期については前述の通りですが、配送する場合は相手に事前の連絡を入れ、受け取り可能な日にちを確認してから贈ることが大切です。
相手と連絡が取れないおそれがあるのなら、長期保存が効くものを選んでおいた方が無難です。また、お正月用の生鮮食品を贈る場合は、到着日に加えて冷蔵庫の容量も確認しておくと良いでしょう。

【お歳暮の時期を過ぎてしまったら】
何かと忙しい年末だけに、うっかりお歳暮を贈るタイミングを逃してしまうことがあるかもしれません。万が一、贈るのが年明けになってしまいそうな時は、のし紙の表書きを変えて贈るようにしましょう。

●年明けすぐに贈る場合
お歳暮の時期を過ぎて、年明け〜松の内の間に贈る場合は、表書きに「御年賀」と書いて贈りましょう。松の内とは、正月の門松を飾っておく期間のこと。関東では主に年明け〜1月7日まで、関西では年明け〜1月15日までと時期が若干異なります。

●松の内を過ぎて贈る場合
松の内も過ぎてしまった場合は、「寒中御見舞」もしくは「寒中御伺」と書いて、立春(2月4日頃)までの間に贈りましょう。目上の人に贈る場合は「寒中御伺」とすると、より丁寧になります。

【喪中や忌中の相手に贈る場合】
お歳暮は感謝の気持ちを伝えるためのもの。お祝いとは異なるため、どちらかが喪中であっても、お歳暮を贈るのに問題はありません。ただし、忌中の場合は時期をずらして、四十九日を終えてから「寒中見舞い」として贈りましょう。

【喜ばれるお歳暮の選び方】
たとえば、「コーヒーが飲めない人にコーヒーを贈ってしまった…」なんて失敗がないように、相手の好みや家族構成などを前もってさりげなくチェックしておくと、ギフト選びがはかどります。

【お歳暮のお返し・お礼状】
お歳暮をもらった場合、基本的にお返しは必要ありませんが、受け取ったらすぐにお礼状を贈ると、相手に丁寧な印象を与えます。
お礼を伝えるのはマナーの基本でもありますが、お礼状が届くことで、贈り手は無事に商品が届いたことを知って安心します。親しい人にはお礼状でなく、電話やメールでもOKです。ギフトを送る際は、いつもこまめに連絡を送るよう習慣づけておきたいですね。

3.のし紙と水引のルール

【お歳暮にふさわしいのし紙とは】
お歳暮は一般的なご祝儀やご挨拶、お礼と同じように、のし紙に包んで贈るのがマナーです。のし紙とは、「熨斗(のし)」と「水引」が印刷された「掛け紙」のことで、お祝い事全般に使用します。
掛け紙とは、贈り物や金封に掛ける紙全般のこと。つまり、「のし紙」も掛け紙の一種なのです。弔事に用いる掛け紙には「のし」がなく、水引だけが用いられています。
熨斗とは、のし紙の右上にある小さな飾りのこと。のし紙にはさまざまな種類がありますが、お歳暮には「紅白5本蝶結び」のタイプを選びましょう。

蝶結び(花結び)は、何度でも簡単に結び直せることから、出産や入学、昇進をはじめ、「何度あってもうれしいお祝い」に適した結び方です。お歳暮のような季節の贈り物や手土産にも幅広く使われています。
このように一見、どんなシーンにも活躍しそうな蝶結びですが、お見舞いや快気祝い、お悔やみ、結婚祝いなどには絶対に使ってはいけません。何度繰り返しても良いお祝いではないからです。

のし紙の詳細は、下のひとくちメモでイラスト入りの解説をしていますので、困った時の参考にしてみてください。

ひとくちメモ

のし紙と掛け紙の違い
季節のご挨拶やお祝いには「のし紙」を使いますが、それ以外の場面では「掛け紙」をかけて贈るのが一般的です。たとえば弔事には、熨斗がなく、水引だけが印刷されたものを使用します。詳しくは
熨斗のマナーについて(https://www.nishihara-shokai.shop/blog/etc/noshi-manner)」でもご紹介していますので、参考にしてみてください。

のし紙と掛け紙の違い

●のし紙:熨斗と水引がついた掛け紙。一般的な贈り物や慶事に使用する。
●熨斗:のし紙の右上にある飾り。
●水引:のし紙を飾るリボンのようなヒモ。
●かけ紙:水引だけがついた包装紙。病気や災害見舞い、弔事などに使用する。

【内のし・外のしの選び方】

外のしと内のし例

のし紙には、「内のし」と「外のし」があります。内のしは贈り物の箱に直接のし紙をかけて、上から包装紙で包んだもの。外のしは包装紙の上からのし紙を掛けたものです。お歳暮を贈る際も、2種類のうちからどちらかを選ぶ必要があります。
「こうでなくてはダメ」というわけではありませんが、相手との関係性や状況を考えて、より適切なものを選択したいですよね。そんな時は、次のような点を押さえておくと役立ちます。

〈内のしに適した贈り物〉
「内のし」は、のし紙が包装紙の内側に隠れるため、相手に品物を渡す時、贈る目的が書かれた「表書き」が見えません。その分、控えめな印象を与えるので、内祝い(お祝い・お見舞いのお返しに贈るもの)によく使われます。
宅配便でお歳暮を贈る場合は、配送中にのし紙が破れたり、汚れたりする可能性もあるので、内のしの方が安心です。
〈外のしに適した贈り物〉
表書きがひと目でわかる「外のし」は、贈り主とお祝いの気持ちを相手にいち早く伝えられるのがポイントです。結婚・出産祝いのように、多くの人からギフトが集まってきそうな時や、贈り物を手渡しする時などに適しています。
相手への心づかいを忘れず、臨機応変に使い分けましょう。

【水引の本数には意味がある】
実は、水引のひもの本数にもそれぞれ意味があります。
お祝いの場合は3本、5本、7本と奇数を選ぶのが基本です。さらに詳しく説明すると、お歳暮のように一般的な贈り物には最もベーシックな5本、カジュアルな粗品や寸志には3本、豪華なお祝いには7本…という風に、TPOや目的に合わせて使い分けるのが基本です。
奇数を重んじる考え方は、「割り切れない数=縁起が良い」とする中国の陰陽五行説※にもとづいているのだとか。ただし、9本は「苦」を連想させるので、例外的に避けた方がベターです。

〈水引の本数 具体例〉
●3本:粗品、寸志
●5本:季節の贈答品、病気・災害見舞いに対する内祝い
●7本:出産・進学・新築祝いなど、おめでたい出来事に対する内祝い

※陰陽五行説とは:中国に古くからある思想。水・金・火・木・土の5つの要素によって、あらゆる自然現象や人間界の吉凶が決まるとする説。

《出典元・参考文献》

NPO法人 国際留学生協会/向学新聞「お歳暮」
https://www.ifsa.jp/index.php?NP1312

和モダン水引協会「水引の色と本数」
https://modern-mizuhiki.jp/about-1/color/

一般社団法人 ギフト研究所「みずた実の季節のギフト 陰陽五行思想と節句」
https://www.gift-kenkyu.com/gift_press/calendar/5777/

ゼクシィ「【手土産・引出物・内祝いetc.】結婚にまつわる「のし紙」基礎知識」
https://zexy.net/article/app002007046/

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今年の暮れは何を贈ろうか?と迷った時の参考にもぜひどうぞ。

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